第4回
 ポリプテルス デルヘッジ
polypterus delhezi



ポリプテルス デルヘッジについてスポットを当て、
特集を組んでみようかと思います。
特集というほどたいしたものではありませんが、
少しまとめてみました。
もう飼育している方などにはあまり面白くないページかと思われます・・・

ポリプテルス デルヘッジ(以下デルヘッジ)
この種はどちらかというと、ポリプに一歩踏み込んだ次の段階に、
手を出すことの多いポリプテルスではないでしょうか。

セネガルスを飼育開始して、仲間が欲しくなった場合など、
ポリプにはまってきた証拠ともいえる種だと思います。
しかし、このデルヘッジ、自分が思い描くような個体というものには、
なかなかめぐり合えずに苦労したり、
行きつけのショップにたくさん入荷したものの、バンドがほとんど入っていないなど、
セネガルスを選ぶときよりもかなりの苦労があると思います。

とりあえずデルヘッジという名前が付いているならどんな個体でもいいか、などと、
妥協して、後で後悔した人も中にはいるのではないでしょうか。



分布、データ

小離鰭数10〜13枚、背中線鱗数14〜17
ザイール流域に広く生息します。

セネガルスほどの生息範囲ではありませんが、
コンスタントにワイルド固体が輸入されてくるところから、
自然下での生息数はかなり多い事が予想されます。

コンゴ周辺の最低気温は19度と、比較的涼しい時期もあるようです。
しかし、他のポリプテルス同様気温上昇にもある程度は耐え、
極端な温度上昇でなければ体調を崩すようなことはありません。
逆に秋ごろの急激な温度低下には強いかもしれませんね。

特徴

デルヘッジは上顎が下顎よりも突出する、
ポリプテルスの中では中型に分類される種類です。
何よりも目を引くバンド模様と、頭部に入る十字模様が特徴です。

落ち着くと頭部を中心に全身に緑化が広がり、
大変美しい姿となります。

小離鰭を広げて泳ぐ姿は大変きらびやかで、
月並みな表現ですが、本当にドラゴンのような姿を彷彿とさせます。
しかし少々神経質な面があるのも事実で、物陰に隠れがちになったり、手を入れた瞬間驚いて逃げることがよくあります。

頭部が他の種と比べて小さいことから、石などの隙間に入った餌も器用に捕食することが出来ます。
このことから、自然界でも物陰に隠れた甲殻類を捕食するのに向いた形状と思われます。

飼育環境

デルヘッジは、ワイルド、ブリードともに数多く流通しており、
流通するものは大きくても20cmほどで、
30cmオーバーという個体はあまり見かけません。
それゆえ、小型水槽で飼育されることも多いのですが、
この種は大きくさせることは、確かに少し難しいところがあるかもしれません。
しかし、デルヘッジだけを飼育しているという状況よりも、何かと混泳させている可能性が高い上に、
性格が神経質というところから、なるべく大き目の水槽で飼育することをお勧めします。


セネガルスは入門種として紹介される場合が多いのですが、この種は、
上でも述べたとおり1歩踏み込んだ人が手を出す種類と考え、
この種に手を出すのであれば、90cm以上の水槽を準備する覚悟を持って当たってください。

混泳

セネガルスのコンテンツに書いてあることと同じですが、
注意としては、口に入る魚は完全にだめです。
また、食べられそうにない比較的長さのある魚も、攻撃対象になる可能性がありますので、
細長い魚との混泳も不可でしょう。
しかし、同じポリプテルス同士では、多少大きさに開きがあっても混泳がうまく行く場合がありますが、
幼魚期では共食いが激しかったり、40cmのポリプが20cmのポリプを食べたという事例はありますので、
確実とはいえません。

一方、比較的小さな魚でも、体高がある魚はあまり攻撃対象とはされず、
うまく行く場合も多くあります。
もてあそんで殺してしまうようなことはまずありません。

写真はペルビカクロミス・プルケール

(携帯でとった動画です。数年前のものですが混泳の雰囲気はこんな感じです)
この様な種は販売サイズは小さいのですが、成長するとそこそこ大きくなりますので、
23cmくらいまでのデルヘッジとなら絶対とはいえませんが混泳が可能かと思われます。
ポリプテルスとの混泳にも意外と似合います。

ガンガン成長するようなポリプがいるのならば混泳することは不可能ですが、
コンゴテトラなど、体高のある魚は飼育者の目から見てミスマッチでなければ、
何とでも混泳が可能ではないでしょうか。
特殊固体




デルヘッジは、ブリードも盛んに行われているため、比較的ショート個体など特殊固体も流通量が多く、
興味がある方にはそのような固体も面白いかもしれません。
上の固体はセミショートクラスで、私はあまりショート個体に興味がないのですが、
この個体の体形と崩れたバンドは非常に気に入っております。

手前味噌ですがバンドがそろっているデルヘッジだけがいいデルヘッジではなく、
上のように崩れたバンドもまた面白いかと思います。

食性

デルヘッジは比較的餌の選り好みもなく、
飼育者にとっては餌という観点から見れば非常に飼育のしやすい種です。
人工飼料も魚の切り身も何でもよく食べます。

同じ餌ばかり与えていても、食飽きを起こすようなことも余りありませんので、
人工飼料中心での飼育も比較的楽に行えます。
大きくなってほしいのであれば、いろいろなメニューを取らせて上げるべきですが。

5cm〜くらいの小さな個体であれば冷凍赤虫と、
人工飼料を細かく砕いて与えます。
8cm〜になればめだかが食べられるようになりますので、めだかを中心に15cmくらいまで一気に持って行くのが理想です。
そのへんから飼育者の好みで、大きくさせたいのであれば活餌を中心に、
人工にならせたいのであれば人工をメニューに加えていくとよいかと思います。


飼育に関する注意点

魚は狭い空間では暴れやすくなります。
デルヘッジは特に何かの拍子に驚いたり、パニックになることが多く、
以前90cm×30cmというスリム水槽で、デルヘッジを飼育していたことがあるのですが、
何度か顎先をつぶす事故がありました。
幸いそれほどひどい怪我ではなかったので完治しましたが、
下手をすると外見上跡が残ってしまうような怪我をしてしまうかもしれません。

また、隠れ家のようなものを入れると、隠れがちになり、あまり表に出てこなくなる個体も多くいます。
遊泳シーンを見たいのであれば特に隠れ家などは必要ではありませんので、
何も入れずに底砂だけの飼育でも問題はないと思います。