ポリプテルスの飼育

ポリプテルスを飼育する前にまず考えなくてはならないのが、寿命と最大体長です。
ポリプテルスは小型種から大型種までおり、
大型水槽でないと飼育できなくなるような種までいます。
最低でも60cm水槽が必要で、寿命も10年は軽く超えます。
中には30年も生きている個体が報告されています。
ショップで出回る稚魚はとても小さく5cmほどのものから出回ります。
稚魚のほとんどが養殖されているものです。
養殖されている種は、

の5種で(入手しやすいもの。他は後述)そのうちオルナティピンニスとエンドリケリーは、
60cm水槽では飼えません。
平均サイズはおおよそのものなので、これよりも10cm以上大きくなる個体もいれば、
20cmで成長が止まる個体もいますので、あくまで目安です。

今人気のエンドリケリーをどうしても飼いたいという方は、
どれだけの設備が用意できるかにかかってきます。
一番最低限の水槽で、90cm×45cmで、1匹飼育
(成魚になるとかなり無理があります)
用意できるなら120cm水槽以上の物を用意しなくてはいけません。
飼育の始め方や、飼育方法は、他の種と変わりありません。
気をつけるのは、あまり小さすぎる固体は控えることで、
8cm以上あればめだかを捕食することが出来るでしょうから、
めだかを食べられるかショップの人と相談して、飼育に望んでください。
イトメしか食べられないような稚魚は控えた方がいいでしょう。
それでもエンドリケリーが飼育したいという方はこちら。


店頭に並ぶ稚魚は10cm弱くらいのものが多く、このサイズから飼育し始める場合、
いきなり60cmの水槽から飼育する必要はありませんが、
ゆくゆくはその種の最大体長に合わせた設備が必要となります。
エンドリケリーなどでは初め4cmほどの稚魚でもえさ漬けにすると2ヶ月ほどで、
20cmにもなりますので、
「大きくなったら水槽を買おう」というような余裕はありません。

小型種を買う場合でしたら、大きな設備で餌付けにしない限り、
成長もそれなりですので、金魚のセット水槽など、
比較的小さなものからでも始められます。
以前金魚などを飼育したことがあって、もし家に40cm位の水槽があるのであれば、
5cmから10cmほどの幼魚を買ってきて飼育してみるのもよいかと思います。
ですが、家に水槽がないとなると、いずれ60cm以上の水槽が必要となってきますので、
無駄なお金と手間をかけるなら初めから60cm水槽を買って来て、
立ち上げたほうがいいでしょう。
理想は90cm水槽です。
ポリプテルスにはまりだすと、必ず水槽サイズアップをしたい願望に取り憑かれます。
小型種のみでもコレクション性が強いため、数を入れたくなる場合や、
大型種に目覚める場合などです。
ですので、自分が今出来る限り大きな水槽を考えてみるのがよいでしょう。
ですが、120cm水槽をいきなり立ち上げて、10cmのセネガルス一匹となると、
餌にあたりにくくなりますので、
その辺は兼ね合いを見てください。
また、大きな水槽を立ち上げたからといって濾過が安定してなければ、
魚を病気にしたりしてしまいますので、いきなり何匹も購入することは出来ません。

60cm水槽で終生飼育できるポリプテルスは、
ブリードのベビーからのセネガルスではないかと個人的には思っています。

成長途上ではザイールグリーンや、パルマスなどのベビーも可能ですが、
飼育するにつれ確実に大きくなっていきますので、
いずれは90cm以上の水槽が必要ではないかと思われます。

ブリードのセネガルスも本来は大きくなる種ですが、水槽内ではあまり大きくなることがないため、
60cmでも可としております。

終生飼育できると書いてありますが約束するわけではありません。
中には大きくなる個体もいますので。

ポリプテルスは空気呼吸をしますので、水位を少し下げて飼育してください。
(後述)
■その他のブリードされている種。
  • アンソルギ-
  • ビキール・ビキール
  • ビキール・ラプラディー
  • コンギクス
  • さまざまなハイブリッド(セネガルス×デルヘッジやエンドリケリー×ビキールなど)
  • 改良品種(セネガルスロングフィン、アルビノ、エンドリケリーショート、等)
■普通ブリードはされず、主にワイルドしか出回っていないもの。
  • モケーレンベンベ(旧レトロピンニス)(希少)
  • トゥジェルシー(希少)
  • ビュティコファリ
  • ウィークシー
  • モケレンベンベ

sp等の不確定要素の強いものは省略
水槽の立ち上げ。

子供のころ夜店ですくってきた金魚が2,3日で死んだり、
お店で買っためだかが、1週間と持たずに死んだりしたことはありませんか?
夜店の金魚や、小さなめだかの場合、個体自体が弱っていて死んだ可能性もありますが、
多くの死因は、飼育する本人の無知から来るものです。

魚は当然ながら餌を食べ、糞をします。
この餌の食べ残しや糞が、魚にとっては直接の死因となるアンモニアになります。

このアンモニアを分解し、亜硝酸というものへ変換するバクテリア
(このバクテリアが魚飼育には必要不可欠)
がいます。
亜硝酸も魚にとっては、死因につながるもので、これをさらに硝酸塩(比較的無害)
へと分解するバクテリアがいます。
アンモニア→亜硝酸→硝酸塩へと分解されるサイクルの途中で、
魚を死なせてしまうのです。
つまり、水道水を水槽に入れ、いくら優れた濾過装置をまわしたところで、
水槽立ち上げ直後は有害物質を分解するバクテリアが水中や、
濾材にいないため水はどんどん悪くなってしまいます。

では、どうすればいいのか?

有害な物質が水の中にいないとそれを分解するバクテリアも増えません。
一般的な水槽の立ち上げ方法(濾過バクテリアの増やし方)としては
1.水道水をカルキ抜きする。
2.コアカと呼ばれる、小さな金魚、またはアカヒレを10匹ほど、水合わせをして、水槽に放す。
(パイロットフィッシュと呼びます。
コアカを使って立ち上げた場合、ポリプテルスがまだ稚魚ですと当然食べられませんので、
水槽が立ち上がれば、めだかなどを餌として放してください。コアカへの給餌は極力控え、
大きくならないように気をつけてください。ポリプテルスが食べられないサイズまで育ってしまうと、
対処に困ります。ですが、コアカへの最低限の給餌は濾過のためにも必要です。)


3.2日に1度全体の水量の1/3ほどを水換えする。
(当然カルキを抜いた水)これを2週間ほど続け、
以降は週に1度ほど、1/3程度の水換えをします。
この際コアカが死ぬ場合もありますが、仕方のない犠牲です。

4.水槽立ち上げから1ヶ月、ようやく、念願のポリプテルスを購入できます。
.
5.ポリプテルス投入後は、しばらくは、毎日試験紙などによる水質のチェックを怠らずに!
異常があれば即水換え!調子が悪ければ、一日数回の水換えも!

6.5の工程が過ぎ、水質が安定すれば、1週間に1度1/3ほどの水換えをします。
(硝酸塩については、試験紙で、水換え時期の数値が表示されますが、
少々の水換えで硝酸塩濃度を低下させることは、まず不可能ですので、
危険値でなければ、それほど気にすることはないでしょう)

魚をぱっと見て水が悪いとわかるようになるまでは検査紙、試薬は必須です。
(ポリプテルスの場合気が付かないときもあるかもしれませんが・・・)
もちろん状態がなんとなくわかるようになってからも、
時折検査しておくと濾過の調子がよくわかるようになります。

ただし、本命のポリプテルスをいきなり3匹も4匹も買ってきてはだめです。
必ず1匹からはじめてください。

水槽立ち上げが終わるまで、水は絶対に変えてはいけないという方もおります。
その場合、パイロットフィッシュはばたばたと死んでいくことになるでしょう。
それを鑑みて、私は、立ち上げ期間中も水換えを推奨しております。
設備

ポリプテルスは熱帯地方の魚ですので、必ずヒーターは必要です。
温度固定式のものでもかまいませんが、ヒーターカバーは必ず付けてください。
ふたもきっちりした物をしてください。
上部濾過器 のヒーターを通す穴などもウールマットなどでふさいでください。
我が家は水槽上部に隙間なしです。

本格的なセットがついていて、安価にそろえられるものと考えると、
まずは60cm規格水槽ですね。
よくある60cm水槽ですと上部濾過器と蛍光灯(20wで十分)、ヒーター(150w程度)
などが入って約1万円前後で売られています。
底石は入れたほうが魚が落ち着きますので、大磯と呼ばれる南国砂などを敷くとよいでしょう。
特に水草を入れるという場合でなければ5kgほどで十分だと思います。
南国砂は水槽に入れる前によく水洗いしてください。

水槽を始めて立ち上げる場合、大磯砂(南国砂)の濾過能力はかなり優れたものがありますので、
ガーネットやパウダー状の色の付いた砂は綺麗ですが、濾過能力を取れば大磯でしょう。

上部濾過器へはセラミックやガラス発泡濾材を入れます。
特に高価なものでなくてもかまいませんが、上部濾過器に使う場合、リング系の濾材ではなく
バクテリアの付着面積の多い石ころ状の濾材がいいようです。
60cm水槽用と表示されているパッケージ2個分は入ると思いますので
入るだけ入れてください。
(60cm水槽に1~2ヶ使用と表示されているもの)

濾材にはさまざまなメーカーからさまざまなタイプのものが発売されていますが、
「1ヶ月ごとに交換してください」とパッケージに書いてあるようなものは、
せっかくためたバクテリアを、交換の度に捨てて行くことになりますので
セラミック、ガラス発泡など多孔質濾材の使用が適しているかと思います。
パッケージには約半年で交換と書いてありますが、数年は使えます。
その濾材の上にウールマットを敷き、濾過装置のセットは完了です。

外部濾過器は肉食魚向きではありません。
付属していた濾過器が外部濾過器であれば、リング濾材と石ころ状の濾材を組み合わせて、
使ってください。
また、濾材へ直接大きなごみが流れ込まないように、ストレーナー(吸い込み口)
にはスポンジカバーなどをかぶせるか、スポンジフィルターを使ってください。
外部フィルターが大型魚飼育に向かない理由

外部濾過器の場合はシャワーパイプを水面上に出して波打たせるか、
エアレーションをしましょう。
飼育個体が小さい、少ないなどであれば、外部濾過機1基でも十分間に合います。
上部濾過機と併用としての外部濾過機は大きな力を発揮しますので、
全否定するものではありません。
水温

24度~28度が適正範囲です。
以前部屋の模様替えをするのにヒーターを切って廊下で半日ほど放置していたとき、
16度まで下がっていましたがどの個体も死ぬことはありませんでした。しかし、
この温度で冬を越させるには無理です。
あくまで参考に。
また夏場は33度以上になるようでしたらファンや、クーラーなどの対策をしなくてはいけません。
気密性の高いマンションですと夏場思う以上に水温が上昇します。

大体の部屋の温度の把握はしておきましょう。

室温が30度でも照明をつけて、水中モーターなどを回した場合、
約33度位まで水温が上がることがあります。
照明のリフトアップなどの手段もありますが、飛び出し防止のため蓋をしなくてはならないため、
どの程度防げるかは?です。金網等で飛び出し防止ふたを自作するのも効果的です。
90cm水槽くらいまではファンが効果的です。

水温が高い場合は強めのエアレーションをしましょう。

水換え

基本的に1週間に1度1/3です。
本来なら、硝酸塩の蓄積を試験紙などでチェックして、一定以上に硝酸塩がたまる前、
もしくはpHが一定以下に低下する前(基準はpH6~7.5が適正範囲)に水換えします。
(きちんと書くと硝化作用のためにpHが下がるんですが)
亜硝酸塩が検出される場合は問題外です。毎日水換えしてください.

餌の食べかすが多く残ったり、飼育個体が多い場合、
硝酸塩の蓄積やpH低下が早くなりますので、
1週間に一度など目安はありません。
飼育環境に合わせたサイクルで水換えしなくてはいけません。
また、1ヶ月間水換えできなかったので、一度に全部の水を変えるなどの行為は厳禁です。
水道水と飼育水のpHに開きが出ると、pHショックを起こし最悪死んでしまいます。

また、しばらく水換えが出来ないときは、餌を与える回数を減らしましょう。
毎日餌を与えているようでは水の汚れが早く、硝酸塩がどんどん蓄積されてしまいます。

また、大型魚飼育の場合一般的なのが、濾材の全体の容量に対して、
約30%の量の珊瑚礫を入れることです。
珊瑚は水をアルカリに傾ける作用がありますので、急激なpH低下などの防止ができます。

pHが正常値でも硝酸塩の蓄積は魚体へダメージがありますので、
きちんと水換えをしなくてはなりません。
導入初期

(基本的な水あわせなどは、飼育書などを購入し、熟読されることをお勧めします。)

販売されているポリプテルスは、サイズ、ワイルド、ブリードさまざまですが、
ベビーからの飼育として話を進めます。

よく目にするのは5cmほどの、セネガルス、パルマス、デルヘッジ、などですね。
これらは、比較的冷凍赤虫や人工飼料も問題なく食べ、育てる楽しみがあると思います。
以前は肉食魚用の人工飼料の選択肢はほとんどなかったのですが、
最近では各メーカーから販売されている上に、ベビー用のものまであるので、
その辺はお好みで選んでよろしいかと。

ポリプテルスはそれほど神経質なタイプではありませんが、
家に連れ帰って1週間ほど拒食する個体もまれに見られます。
これは、飼育者があせってもどうしようもないので、環境に慣れるまで、
食いつきのよさそうなものを与えてください。
その場では食べなくても、ライトを消して、人の気配を消すといつの間にか食べていることもあります。

人によっては抵抗があるかと思いますが、稚魚期は特に弱いので、
なるべく早く成長させるために、めだかや、アカヒレの小さなものを与えるとよいでしょう。

抵抗のある方は、冷凍赤虫と人工飼料で育ててください。
鳥の胸肉や牛ハツなどを小さく切って与えてもよく食べます。
牛ハツは、消化に良くありませんので、成長期にメインとして与えることは、避けましょう。
あくまで人工飼料へ餌付かせるためのつなぎ程度に。

稚魚期を脱すればもう感覚はつかめたでしょうから、
後は人それぞれ飼育スタイルがあると思います。
生餌を中心に与えるのも、人工を中心に与えるのも。

気がつくと飼育数が10匹を超えていたというのがポリプテルスの恐ろしさです。
思う存分ポリプライフを楽しんでください!
60cm水槽でポリプテルスは何匹飼えるか?

正直難しい問題ですが、
成魚体長が20cmとして、こまめに水換えすることができるのなら5匹は飼えます。
(推奨するわけではありません)
逆に2匹で飼育すると喧嘩する場合もありますので、適当なのは3匹でしょうか?

あくまで20cmで成長が止まったと仮定してのことです。
理想は90cmで5匹というところでしょうか。

特にセネガルス以外の種類のポリプテルスと混泳させたい場合は、
90cm以上の水槽をお勧めします。
ワンポイント

稚魚、幼魚期は特に、エアレーションを施しましょう。
成長率に影響が出ます。
実際に飼ってみる!
■まずはセネガルスだ!→セネガルス

■ほかの魚の飼育経験もあるし、水槽もある程度の物を用意できる。
何より、あの模様がかっこいい!→デルヘッジ

■一風変わった個性的な魚がすき!→モケレンベンベ(レトロピンニス)

■ポリプテルスの王道!飼うならこれでしょ!→エンドリケリー
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